『月下美人』(げっかびじん)
この作品は擬人化されたパンダの美女はこの作品の主人公である。涼しげな扇を持ち、心の良人(りょうじん)を想うような微笑みを浮かべている。美人の後ろには中国の文人画でよく使われる紋様が描かれる「歳寒三友」(さいかんのさんゆう)があり、具体的には松、竹、梅の三つ紋様を指す。この三つ紋様は日本では「松竹梅(しょうちくばい)」と呼ばれる。松と竹は寒中にも色褪せず、また梅は寒中に花開く。これらは「清廉潔白・節操」という、文人の理想を表現したものと見なされた。日本に伝わったのは平安時代であり、江戸時代以降に民間でも流行するが、「松竹梅」といえばめでたいことの象徴と考えられており、本来の中国での認識とは大きく異なっている。